百科事典用定義
~アメリカ人作家、哲学者
ダイアネティックスとサイエントロジーの創始者~
1911年3月13日、L. ロン ハバードは、ネブラスカ州ティルデンに生まれた。辺境の地、モンタナ州で少年時代を過ごす。第二次世界大戦前の中国を冒険し、1932年にジョージ・ワシントン大学に入学するまで、日本からジャワ島と、距離にして約40万キロを旅する。学校は彼にとって、空の冒険とカリブ海の探検へのきっかけとなり、それらの探検から人間の心と精神に対する科学的調査が始まった。またこの時期、長期にわたる彼の作家生活の幕開けとなる作品が出版された。最終的に、通算50年を超える作家生活を通じて、合計590冊の出版作品(20以上の専門分野およびノンフィクション、また5つのジャンルにわたるフィクション)を、10を超えるペンネームで発表した。初期のサイエンス・フィクションに彼が与えた影響は広く知られているが、これは彼が残してきたフィクション作品の一割程度にすぎない。
彼の初期のフィクション作品の中に西部劇があり、『バックスキン部隊』が特に有名。その他、その影響力と評価の点で有名なフィクション作品として、ホラー作品の『フィアー』、SFの模範的作品『ファイナル・ブラックアウト』、ファンタジー小説の原型『空中のタイプライター』の三作がある。第二次世界大戦では海軍大尉として従軍し、戦後の調査を経て、1947年、有名な研究論文『ダイアネティックスの原論』を発表した。ダイアネティックスに関して最初に発表された科学論文は、1949年後期、探検家ジャーナルに登場した。その後の1950年、彼の画期的な著作『ダイアネティックス:心の健康のための現代科学』が発表され、即座にニューヨーク・タイムズ紙のベストセラーとなり、以後26週間続いた。以来、2,500万冊売れ、世界中の何百というベストセラー・リストに登場した。1951年には、もうひとつの革新的な著作『生存の科学』を発表。人間の振る舞いを科学的に予測する手段を提示し、論理の段階的スケール、そして生命エネルギー(セータ)と物質宇宙との関係を説明した。数ヵ月後、フィラデルフィア博士号コース講演において純粋な静、ゼロと無限の識別化、またエネルギーと時間の循環定義から引き離した「空間」の意味といったものを定義し、実証した。
これらの発見はサイエントロジー教会の哲学的、技術的な基盤をもたらした。サイエントロジー教会は、1954年、サイエントロジストのグループによって形成され、1955年、ハバードはワシントンD.C.の創立教会の総代表の職に就いた。1961年から1966年まで、イギリス、サセックス州にあるセントヒル荘の自宅で、世界中からの何千というサイエントロジーの生徒たちを教え、講演を行った。1970年代初頭、急速に悪化する社会に危機感を覚え、彼は合衆国に戻り、ニューヨークで社会学的な調査に取り組んだ。道徳の崩壊の原因を突き止め、彼はふたつの重要なプログラムを提供した。以来それらのプログラムは世界中で認められている。宗教色のない道徳律を提示する『しあわせへの道』と、宗教の社会的影響の回復を援助するボランティア・ミニスター・プログラムがそのふたつである。
彼の広範にわたる大きな貢献には、低下する教育水準や道徳、薬物乱用、犯罪といった問題への解決策が含まれている。彼はまた、管理運営、倫理、芸術、論理といった主題、さらにサイエントロジーの哲学的、技術的教材の体系化を図った。1982年、彼は作家生活50周年を記念し、SF史上最大の小説『バトルフィールド・アース』を発表し、人気を博した。続いて、SF風刺小説の最高峰である『ミッション・アース』(全10巻、合計120万語)を刊行した。